歯周病になる要因はさまざまありますが、なりやすい特徴があって歯周病にかかりやすい人もいます。
歯周病になりやすい人とはどんな人で、なりやすい条件を知れば、歯周病にならない対策ができるのではないでしょうか?
この記事では、歯周病になりやすい人、そもそも歯周病とはどんな疾患なのか、ならないための対策などを紹介します。
心当たりがあったら、ぜひ歯科検診のきっかけにしてください。
歯周病になりやすい人とはどんな人?
歯周病になりやすい人を紹介します。
なりやすい人が分かれば対処法も分かるため、当てはまる人は参考にしてください。
歯を磨くのが苦手
歯を磨くのが苦手な人や、口腔内をあまりきれいに保てない人は、歯周病になりやすいでしょう。
歯周病は感染症であり、原因は細菌(歯周病菌)です。
口腔内をきれいにできないということは、食べかすの中の糖分をエサに細菌が増え、歯垢を形成しやすいという、歯周病菌にとって絶好の環境であるということです。
歯の磨き方が不十分だと、歯周病だけでなく虫歯になる危険性もあります。どちらも最悪の場合、歯を失うことになります。
歯磨きが苦手だとしても、歯間ブラシやマウスウォッシュなどを利用して頑張ってみて、ケアの結果を定期的に歯科医院で診てもらいましょう。
喫煙者
喫煙は歯周病のリスクの中でもとても大きな割合を占める、危険因子の代表といえます。
喫煙者が歯周病になりやすい理由は以下です。
- 歯茎が血行不良になり、酸素や栄養が行き届かない
- 歯茎の免疫力が低下し、細菌に対抗できなくなる
- 唾液の分泌が抑制されるため、口腔内の細菌が増える
また、歯茎が血行不良になると、歯周病が進行しながらも出血や歯肉の腫れなどの症状が出にくくなるため、発症に気付かず治療開始が遅れてしまいます。
喫煙はやめない限り、いつも何かしらのリスクを負うことになるため、歯周病をきっかけに禁煙について考えてみましょう。
持病や投薬
持病を持っている人や、その治療のために投薬を受けている場合、それが原因で歯周病になるケースがあります。
- 糖尿病は口が乾くため唾液の量が減って口腔内の菌が増える
- てんかんは食事療法や発作時の受傷などで口腔内にトラブルが起こりやすい
- 高血圧・てんかん・骨粗しょう症の薬は歯肉増殖という副作用で歯茎が腫れる
このようなケースでは薬を処方されている内科の担当医に相談して、副作用の少ない薬に変更してもらうことで対処が可能な場合があります。
また、歯周病治療を進めて歯周の状態がいい人は骨密度の低下が抑えられるなどの報告も出ています。
歯周病は全身疾患とこのような関連がある疾患です。そのため解決を求めることで道が開く可能性があります。
口で呼吸をする
唾液には殺菌作用がありますが、口呼吸の人は口腔内が乾燥しやすいため、細菌が繁殖しやすく、結果的に歯周病にかかりやすくなります。
鼻づまりが多い・口臭がある・集中力が低下気味になるなど、他に影響が出ることもあります。
気が付くと口が開いている人や寝ている時に口呼吸の人は、耳鼻科や歯科を受診してみましょう。
口呼吸が改善することで、歯周病以外のことも改善する可能性があります。
歯ぎしり・食いしばり
歯ぎしりや食いしばりがある人は、歯周組織に相当な負担がかかるため、歯周病になりやすいとされています。
食事の3倍の力がかかるとされ、その負担に歯が耐え切れず、歯茎が下がったり骨吸収が起こるなど、周辺組織が弱体化してしまいます。
歯ぎしりや食いしばりは本人には気付きませんが、同居している家族に聞いてみる、録音してみるなどで確認してみましょう。
噛み合わせが平たくなるため、歯を見て分かる場合もあります。
歯ぎしりや食いしばりは口腔外科に相談すると、マウスピースの装着やリラクゼーショントレーニングなど、治療法があります。
歯並び・噛み合わせが悪い
歯並びや噛み合わせが悪い場合、歯磨きでのケアで歯垢が残りやすいため、歯周病のリスクが高まります。
生まれつき歯並びが悪い人もいれば、年齢とともに悪くなっていく場合もあります。
ワンタフトブラシや歯間ブラシ・デンタルフロス・プラークチェッカーなど、便利なケアグッズを利用して丁寧な歯磨きを心がけましょう。
また、歯列矯正によって根本的な解決をする方法もあります。
検討するのであれば、まずどの程度歯周病が進んでいるのか、歯周病治療とどちらを先にするのかなど、歯科医師と相談してみましょう。
生活習慣が乱れている
歯周病は生活習慣病といわれています。生活習慣が乱れていると歯周病のリスクが高まります。
- 甘いものが好き
- 睡眠時間が不規則
- 運動不足
歯周病菌は糖分をエサに増殖するため、甘いものが好きな人は要注意です。また間食が多い、寝る前に食べるなど、食べ方にも気をつけましょう。
睡眠不足や運動不足は免疫力が低下します。歯周病菌は普段口腔内にいる菌ですが、免疫力に問題がなければ発症しません。免疫力が低下することで発症します。
生活習慣を改善することで歯周病は予防でき、悪化を防ぎます。
ストレスが溜まっている
歯周病が悪化する原因の一つにストレスがあります。ストレスは万病のもとですが、歯周病でも大きな割合を占める要因となります。
ストレスが歯周病を悪化させる理由には以下があります。
- 自律神経が乱れ、免疫力が低下する
- ストレスで緊張して、唾液が減る
- 歯ぎしりや食いしばりが助長される
せっかく歯磨きで歯垢を落としていても、ストレスが溜まっていることで、歯周病菌の活動を増長させる結果になってしまっています。
生活習慣を整えることは歯周病を予防したり悪化を防ぐことにつながりますが、質の良い睡眠、運動習慣などはストレスの発散にも効果があります。
忙しい毎日のなかでストレスを溜めるなというのは難しい話ですが、せっかくの歯磨きの効果をきちんと出せるように、ストレスと上手く付き合っていきましょう。
妊娠中
『妊娠性歯肉炎』は妊娠中期から後期にかけてかかりやすい歯肉炎です。
女性ホルモンが歯周病菌の増殖を促すことでかかる歯肉炎で、出産後に歯周病に移行する可能性があるため、注意が必要です。
歯垢のない口腔内では起こらないため、清潔を心がけていれば予防できるか、かかっても軽度で済みます。
歯周病は低体重児や早産のリスクがたばこやアルコール・高齢出産よりも高いため、歯周病予防は赤ちゃんのためにも必要です。
妊娠中に治療する場合は安定期に入ってからが望ましいため、それまでは悪化させないよう、また発症させないよう、十分注意しましょう。
遺伝的な要因
歯周病の発症や悪化に関して、抵抗力や免疫力の個人差として遺伝も関係していると考えられています。
他にも、歯垢の付きやすさや歯並び、唾液の質にも同様のことがいえ、また歯周病を発症しやすい糖尿病などは遺伝する病気であるなど、無視できない要因であるといえるでしょう。
また、歯周病自体は遺伝しないとしても、ダウン症や好中球減少症などの遺伝性疾患において見られる『特殊性歯周炎』という、遺伝性の強い歯周病も存在します。
実際、歯磨きを頑張っているのに歯周病になる人もいれば、歯磨きがいい加減なのにかからない人もいるなど、遺伝的要因は確かにあるといえるでしょう。
しかし、歯周病予防や悪化予防のために歯磨きや生活習慣に気をつけるのは、遺伝要素の有無に関わらず必要な対策です。
かかりやすさ、かかりにくさに関わらず、歯周病から歯を守るための歯垢除去に努めましょう。
女性
歯周病を発症するのは男性より女性が多いとされています。女性ホルモンの変化によって分泌量が増えると、菌の増殖を促すことがあるためです。
特に更年期を迎える40代半ばになると分泌量が低下する女性ホルモンのために骨粗しょう症にかかる女性が増加し、顎の骨にも影響を与えるのも理由の一つです。
他にも、女性が男性よりも唾液が少ない傾向にあるのも、歯周病にかかりやすい理由の一つとなっています。
骨を丈夫にする食生活を心がけ、運動量を増やすなど、骨密度を低下させないよう努めることが、歯周病の予防になり、悪化を防ぎます。
歯周病とは?
歯周病とは、歯茎や歯槽骨など、歯を支える組織が炎症を起こし、骨を溶かす感染症です。
歯周病菌が原因で、発症すると完治が難しいため、進行を食い止めるのが重要です。
進行度が初期のうちは自覚症状に乏しいため早期発見が難しく、静かに進行していきます。
炎症が広がり、歯がぐらつき始め、歯茎から血や膿が出てくる頃にはすでに中等度に進行していますが、そうなってやっと歯周病に気付く人も少なくありません。
歯周病は治らない病気といわれていましたが、今はインプラントや骨再生・歯列矯正などの治療方法によって、歯周病になる前の健康な状態に戻ることは可能とされています。
歯周病の治療を成功させるためには、早期発見・早期治療ですが、気付いた時点でなるべく早く歯科医院を受診することが重要です。
歯周病にならないための対策
予防するための対策を常にとっておきたいほど、歯周病は恐ろしい感染症です。
歯周病にならないための対策を紹介します。
発見には歯科検診がおすすめ
歯科検診では虫歯チェックのほかに、歯磨き指導や歯垢・歯石の除去・歯周ポケットの深さを測ります。
歯周ポケットが深いほど歯周病が進行しているため、検診で早期発見ができれば、そこから定期健診として3ヶ月おきの頻度で通うことで、進行を食い止められます。
歯周ポケット内の歯垢は歯磨きで除去することはできません。深いところにできた歯石は切開しないと除去できない場合もあります。
そうならないよう定期的に歯科検診に通い、学んだ歯磨き指導を自宅で実践して、歯科医院と二人三脚で歯周病を予防しましょう。
治療の基本はプラークコントロール
歯周病の治療の基本は、進行度が初期でも重度でも変わらず、プラークコントロール(歯垢除去)です。
歯が抜けそうでも歯茎が腫れていても、口腔内の清潔を保つことで、歯周病の治療をすすめることができます。
丁寧な歯磨きは勿論ですが、上で紹介した、生活習慣を整える・定期的に歯科医院でメンテナンスするなど、多方面から歯垢を防ぐことが歯周病予防や治療につながります。
正しい歯磨きでのセルフケアが大切
一生懸命歯磨きをしていてもかかってしまうのが歯周病です。普段の歯磨きを見直し、正しい歯磨きでセルフケアしましょう。
歯科検診を受けると歯磨き指導を受けられますが、その人に合わせた歯間ブラシやタフトブラシなど便利なグッズの紹介など、磨き方以外の相談もできます。
正しいセルフケアの方法を知る機会を、大いに活用しましょう。
歯周病Q&A
歯周病についてよくある質問をまとめました。
日々の歯周病予防の参考にしてください。
歯周病になりやすい食べ物はありますか?
クッキー・チョコレートなどのお菓子類や甘いもの、ネバネバしているものなどです。
歯にくっつきやすい柔らかい食べ物は、歯間に入りやすいため歯周病菌が繁殖しやすいです。
炭酸飲料などの糖分の高い飲み物にも気をつけましょう。
虫歯になりやすい人との違いは?
虫歯になりやすい人と歯周病になりやすい人の違いは、口腔内に棲んでいる細菌の種類の違いです。
似たような生活を送っていても、虫歯菌が多い人は虫歯になりやすく、歯周病菌が多い人は歯周病になりやすいでしょう。
また、両方になりやすい人は、生まれつき歯質が弱い、どちらの菌も多いなどという特徴があります。
歯周病が治った人はいますか?
進行を食い止めることが基本的な治療となる歯周病は、歯を支える骨が溶ける病気のため、ある程度進行してしまうと完全に治ることはありません。
しかし、インプラントや骨造成などの新しい技術を利用して、かかる前の健康な口腔状態に戻すことは可能です。
そうなると費用も時間もかかるため、まずは予防し、悪化を防ぐことが大切です。
歯周病は見た目で分かりますか?
歯周病の初期症状に、歯茎が腫れる・赤くなる、口臭が気になる、歯茎から血が出るなどがあります。
しかし歯周病の初期症状は、しばらく様子を見ようと思ってしまうほど、気にならない程度の場合が多いです。
歯周病には早期発見・早期治療が有効です。上記のような症状が見られたら、なるべく早めに歯科医院を受診してください。
まとめ
歯周病になりやすい人の特徴を詳しく紹介しましたが、心当たりがあるようであれば、ぜひ歯科医院に相談してください。
早い行動が後の治療にいい結果をもたらします。
箕面おとなこども歯科では、歯の寿命を延ばす治療のほか、抜かなければならなかった歯を補うインプラント治療も行っています。
重い歯周病で必要になる外科処置にも対応できる、口腔外科の経験豊富な院長が治療を行います。
歯周病のさまざまな場面に対応できる箕面おとなこども歯科に、気になる歯周病のことをご相談ください。