「いつの間にか虫歯ができていた」「毎日磨いているのに気付かなかった」という経験はありませんか?
早く見つけられれば治療の必要がなかったかもしれないと思う方は多いかもしれません。
初期の虫歯は自分自身では気付きにくいものです。
しかし、虫歯は初期でのケアや治療するのが大切で、その状態によっては自然に修復できる可能性もあります。
では、どうしたら初期の段階で虫歯に気付けるのでしょうか。
この記事では初期虫歯の発見方法や治療法、虫歯の予防について解説します。
初期虫歯とは
初期虫歯は自覚症状がほとんどなく、自分自身では気付きにくいのが特徴です。
虫歯の進行はC0(シーオー)からC4までの5段階に分類され、一般的に初期虫歯はC0とC1の段階を指します。
C0は、穴が空く一歩前で症状や痛みはなく、まだ進行していない状態、C1は虫歯がエナメル質に達して溶け始めている状態です。
初期の場合、さらに進行しないようにフッ素塗布や適切な歯磨きなどのケアをする必要があります。
次項では、見た目においてどのような特徴があるのかを解説します。
歯の表面が変色する
歯の表面は、通常であれば艶や透明感がありますが、初期虫歯は少しずつ白く濁って見えます。
表面に歯垢とは異なる白いシミのようなものが見えるのが特徴です。
また、虫歯が少しずつ進行すると、表面が茶色に変色してきます。
特に、以前治療した箇所は虫歯になりやすく、治療で装着したプラスチックや金属などの詰め物の周囲が変色し始めます。
歯を磨くときには、鏡で周囲の歯と比較しながら確認してみましょう。
歯と歯茎の間が白く濁る
虫歯の見た目は、黒い、穴が開いているイメージがありますが、歯と歯茎の境目が白くなり始めるのも虫歯の初期段階です。
これはエナメル質が溶け始めている脱灰と呼ばれる状態で、歯の表面がざらつきます。
歯だけではなく歯茎の変化でも初期虫歯を見つけられる場合もあるため、毎日の歯磨きやデンタルフロスなどをしながら状態を確認しましょう。
奥歯の溝が黒くなる
奥歯の溝は食べかすや細菌が溜まりやすく虫歯になりやすい場所で、場合によっては内部まで進行している可能性もあります。
溝だけでなく、歯の表面に黒い点や線があらわれることもあるため、磨き残しがないように磨きましょう。
奥歯は意識しないと見えづらく、発見が遅れてしまう場所でもあります。
歯磨きのときは、奥歯までしっかりと確認しましょう。
初期虫歯の発見方法
初期虫歯は症状がなく気付きにくいため、気付いたときには虫歯が進行している状態であるケースが良くあります。
ここでは日頃のケアをしながら初期虫歯を見つける方法を紹介します。
鏡で観察する
痛みなどの症状がない初期の虫歯は、目で見て判断するしかありません。
歯磨きをするときには明るい場所でよく観察しながら、他の歯と見比べて光沢がなくなっていないか、歯茎が下がって歯の根元部分が露出していないかなどを確認します。
また、治療した歯や以前の治療で詰め物などをした歯の周囲、歯の裏側や奥歯の溝などは磨き残しが多い部分のため、特に注意して観察しましょう。
表面はもちろん、歯茎の状態や奥歯などの見えにくい場所をチェックすると、初期の段階で発見できます。
デンタルフロスを使う
デンタルフロスが同じ場所で引っかかる場合や、簡単に切れた場合は虫歯が進行している可能性があります。
エナメル質が溶けてざらついた歯が原因で、引っかかったり切れてしまったりするからです。
見た目にはわからなくても、同じ場所で引っかかる場合などは歯科医院で診てもらいましょう。
毎日のケアが歯ブラシだけの方は、歯と歯の間に汚れが残っている可能性があります。
歯ブラシで磨きにくい場所の汚れを取り除き、初期虫歯にも気付きやすくなるデンタルフロスも毎日のケアに取り入れましょう。
歯医者に検診に行く
虫歯を初期の段階で見つけるには、定期的に検診を受けるのが大切です。
自分自身では気付かない場合でも、しっかりと歯科医師の目で虫歯の有無や進行度を確認してもらえるため、早期発見につながり適切な治療を受けられます。
また、毎日丁寧に歯磨きをしていても、深部には汚れが残ってしまいます。
検診では歯のクリーニングもしてもらえるため、虫歯の予防のためにも3〜4ヵ月に1回程度、定期検診を受けるのがおすすめです。
虫歯になる3つの原因
虫歯の主な原因には、歯の汚れ(プラーク)・糖質・歯の質の3つがあります。
ここでは3つの原因について詳しく説明しますので、虫歯になる原因を知り、効果的な予防につなげましょう。
歯の汚れ(プラーク)
虫歯になる大きな原因は、歯の汚れ(プラーク)です。
正しい歯磨きができずに磨き残しがあると、残った細菌が歯に付着し歯垢となって酸を作り出します。
酸によって歯の表面が溶けて、歯がスカスカになった状態が虫歯です。
歯垢は、細菌のかたまりであり住み家にもなります。
ねばねばしているため、うがいなどでは簡単に落とせません。
また、唾液の分泌量が少ない人は口の中に汚れが蓄積しやすく、歯垢が溜まりやすくなっている場合もあります。
糖質
食べ物に含まれる糖質は細菌の栄養源です。
お菓子やジュースなどの甘いものを間食として摂ることが多い人は、糖質が作り出した酸に歯の表面が長い時間さらされるため、むし歯になりやすくなります。
「甘いものを食べると虫歯になる」とよく聞くのは、この理由からです。
間食する場合は回数やタイミングに気を付けましょう。
口の中に食べ物がある時間を短くして、歯が修復するための時間を長くすると虫歯になるリスクを軽減できます。
また、寝ている間は唾液の分泌が減るため、寝る前の1時間は食べないようにしましょう。
歯の質
虫歯になりやすい原因は、エナメル質や象牙質などの元々持っている歯の質にも左右されます。
細菌への抵抗力や唾液の性質、歯ぎしりや噛み合わせなどは個人差があり、むし歯になりやすい人もいます。
また乳歯や永久歯が生えたばかりの時期は、虫歯になりやすいため特に注意しましょう。
丈夫な歯を育てるには、バランスの良い食生活が大切です。
歯の土台を作るためのタンパク質、歯の再石灰化のために必要なカルシウム、また、これらがうまく働くためのビタミンなどの栄養素をバランス良く取れる食事を心がけましょう。
初期虫歯は治療なしで修復できる可能性がある
虫歯は初期であれば治療なしで修復できる可能性があります。
唾液の中のカルシウムやリンは、溶けてしまった歯の内側に入り込んでもとに戻す働きがあり、これを再石灰化といいます。
口の中では、歯を溶かしてしまう脱灰とその状態をもとに戻す再石灰化が繰り返しおこなわれており、脱灰と再石灰化を同じ程度で繰り返しているのが、健康な歯の状態です。
しかし、毎日のケアを怠ったり、糖質を摂りすぎたりするなどで脱灰が促進されてバランスが崩れ、再石灰化が追い付かなくなると虫歯になります。
初期虫歯の段階では、再石灰化を促進させれば修復につながります。
再石灰化を効率よく促すのに重要なのがフッ素です。
歯科医院でフッ素を塗布してもらう、フッ素入りの歯磨きを使うなどで修復できる可能性が高まります。
初期虫歯の治療方法5つ
初期虫歯を修復するためには以下の5つの方法があります。
- ブラッシング
- フッ素塗布
- PMTC
- シーラント
- 正しい食生活
初期虫歯が見つかったとき、虫歯の進行を防ぐためにも知っておくのは大切です。
ブラッシング
毎日のセルフケアでの適切なブラッシングで、虫歯の原因となる歯垢やプラークを取り除くのが大切です。
歯ブラシを使って歯の表面や歯と歯茎の間をしっかりと磨き、口の中を清潔に保ちましょう。
ブラッシングがしっかりと出来ているかは、染め出し(歯垢染色液)で染めてみると確認できます。
歯垢の残り具合などを把握できるため、磨き残しが多い場所を意識的にブラッシングするのに役立ちます。
あまり強く磨きすぎると、歯茎を傷つける場合もあるため注意が必要です。
また、歯ブラシは毛先がやわらかく、歯と歯茎に優しく当たるタイプを選ぶのがおすすめです。
フッ素塗布
再石灰化を促す働きを持つフッ素は、歯科医院で定期的に塗布してもらいましょう。
フッ素は虫歯の原因となる菌の活動を抑えて、酸が作られるのを防ぎ虫歯の進行を抑えます。
また、歯を強くし、虫歯になりにくい歯にしてくれる効果もあります。
フッ素入りの歯磨き粉を使って、セルフケアするのもおすすめです。
フッ素はいったん歯に取り込まれても、すすぎすぎると溶け出してしまうため、フッ素入りの歯磨き粉を使う場合は、すすぎの回数を少なめにしましょう。
PMTC
PMTC(プロフェッショナル・メンテナンス・クリーニング)は、歯科医院でおこなわれる専門的なクリーニング方法です。
歯の表面についた汚れを落とす一般的なクリーニングとは異なり、歯科衛生士が特殊な器具を使って、表面だけではなく歯垢や歯石を除去してきれいに掃除してくれます。
初期虫歯の治療において歯の健康状態を改善し、再発を防ぐために効果的です。
シーラント
シーラントとは、まだ虫歯になっていない健全な歯に対して行う予防的治療です。
歯ブラシなどでは磨きにくい奥歯の溝を、プラスチック(樹脂)で埋め、細菌が繁殖しないようにする方法です。
乳歯もしくは生えたばかりの永久歯といった、子供の歯の治療によく使われます。
歯垢がたまりやすい奥歯の溝に塗り、歯垢や食べかすの付着を防いだり、シーラント材のなかに含まれるフッ化物により再石灰化の作用を促進したりするのが可能です。
歯全体にシーラントはできませんが、フッ素塗布と併用して効果が高まります。
正しい食生活
初期の虫歯の進行を防ぐには正しい食生活が大切です。
日常的に甘いものは控え、お菓子やジュースなど糖分の高いものを長い時間ダラダラと摂取しないように心がけましょう。
また、唾液の分泌量が増えると、口の中の汚れを洗い流してくれるため、噛みごたえのある食べものをよく噛んで食べるのも良いでしょう。
キシリトールガムを噛むのも効果的です。
キシリトールは歯の石灰化を促して虫歯菌を弱める効果があり、ガムを噛むことで唾液の分泌量を増やせるからです。
早期対応が重要!虫歯を初期のうちから治療すべき理由
虫歯は初期の段階で治療するのが大切です。
なぜなら早いうちから治療するとさまざまなメリットがあるからです。
まず、初期の虫歯は痛みがないため、早期に発見できれば痛くなる前に処置できます。
また、処置も簡単かつ短い期間で済み、治療のために通院する回数を減らせるうえに、治療費を抑えられます。
冷たいものがしみる、痛みなどの症状がでてきたら虫歯が進行している状態です。
さらにひどくなると歯の根まで虫歯が到達し、炎症や膿が生じ激しい痛みがでる場合もあります。
もちろん虫歯にならないのがもっとも良いですが、できてしまったときは進行を最小限に抑えるのが重要です。
定期検診や毎日のセルフケアをしっかりとおこない、歯の変色や奥歯の黒ずみに気付いたら、放置せずに早いうちに治療しましょう。
初期虫歯を予防するための正しいケア
初期の段階で虫歯を予防し正しくケアするには、毎日のセルフケアと定期的な検診が大切です。
丁寧な歯磨きはもちろん、ダラダラ食べをしないといった食生活にも気を付け、歯科医院での定期検診を受けましょう。
丁寧な歯磨き
虫歯の予防、進行を防ぐための毎日のセルフケアに大切なのは丁寧な歯磨きです。
正しい歯磨きで、プラークを取り除くことが虫歯予防には有効です。
歯ブラシだけでは落としきれない汚れもあるため、デンタルフロスや歯間ブラシを使い歯と歯の間など磨きづらい場所の汚れもしっかりと落とします。
ただし、歯ブラシやデンタルフロスは正しく使わないと汚れをしっかり落とせません。
まずは、歯科医院で自分に合った使い方を指導してもらいましょう。
ダラダラ食べをしない
食事の時間を決めずに、ダラダラと食事をとる、または間食をする習慣は虫歯になりやすい要因の一つです。
長い時間口に食べ物が入っていると、エナメル質が溶け始める脱灰の状態が長く続き、再石灰化が追い付かなくなります。
特に甘い飲み物やお菓子に含まれる糖質は、細菌の栄養になるため、間食が多い場合は回数や時間を減らしましょう。
食事の時間を決め、正しい食生活を心がけ食後は歯磨きをするのが大切です。
定期検診
虫歯予防には、3〜4ヵ月に1回の頻度で定期的に通うのが重要です。
PMTCやフッ素塗布、歯磨き指導を定期的に受けられるため、虫歯予防に有効的です。
また初期段階で虫歯を見つけられるため、削って埋めるような治療を避けられ痛みが出る前に治療ができます。
痛みや見た目に変化がなくても、定期検診を受けておくと虫歯の早期発見や予防につながります。
まとめ
初期虫歯は自覚症状がほとんどなく、自分自身では気付きにくいのが特徴です。
しかし、初期で見つけられれば治療なしで修復できる可能性があります。
初期虫歯を発見するには、毎日セルフケアをしながら鏡でチェックする、定期検診を受けるなどが有効的です。
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