
歯科医院へ行くとき、「初診料はいくらくらいかかるの?」「どこまでが初診料に含まれるの?」と不安に感じる方は少なくありません。
歯科医院の初診料は、厚生労働省の診療報酬に基づいて決められており、全国どこでも同じ計算方法で算出されています。
しかし、初診料以外にもレントゲン撮影や歯周検査などが加算されるため、実際の支払い額は症状や検査内容で変わる点には注意が必要です。
この記事では、歯科医院の初診料について詳しく解説します。
初診時にかかる費用の内訳や費用を抑えるポイントもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
歯医者での初診料とは

歯科医院での初診料とは、初めて受診するときや久しぶりに受診するときにかかる基本費用です。
初診料は「最初の1回だけ」と思われがちですが、実際には治療内容や前回の受診時期によって再び発生することがあります。
また、初診料は厚生労働省の診療報酬で金額が決められており、保険診療を受ける場合に適用されます。
費用は全国どの歯科医院でも同じ計算方法で算出されるため、場所によって金額が大きく変わることはありません。
ここでは、初診料が発生する条件や再診料との違いについて解説します。
初診料が発生する条件
初診料が発生する条件として、以下の2つがあります。
- その病気に対して初めて治療を行うとき
- 前回の来院から2か月間空いたとき
上記2つの条件についてそれぞれ解説します。
その病気に対して初めて治療を行うとき
同じ歯科医院に通っていても、別の病気の治療を新しく始める場合は初診扱いになります。
例えば、歯周病の治療中に別の歯に虫歯が見つかったとします。
このような場合は、前から通っている医院でも「新たな病気の治療」と判断されるため、初診料が発生することがあるのです。
一方で、同じ病気の治療を継続している場合は、間隔が空いていない限り初診料ではなく再診料が適用されます。
前回の来院から2か月間空いたとき
初診料が発生するもう1つの条件が、前回の来院から時間が空いてしまった場合です。
歯の状態や治療内容によって異なりますが、2か月程度空くと初診扱いになるケースがあります。
また、期間が短くても、前回の治療部位に大きな変化が起きている場合は初診になることもあります。
時間だけでなく、状態の変化も判断材料になることを覚えておきましょう。
再診料との違い
再診料は、すでに通院中の治療を継続しているときにかかる基本費用です。
初診料との大きな違いは、「新しい診療を始める必要がないこと」と「前回の治療から期間が空いていないこと」です。
再診料も診療報酬で金額が決められており、保険診療であれば全国どこでも同じ計算方法になります。
ただし再診と思っていた治療でも、長期間通院が途切れたり、別の病気の治療を受けることになったりすると初診扱いになることがあります。
歯医者の初診料の目安

歯科医院の初診料は、診療報酬で『267点』と定められています。
診療報酬は1点につき10円で計算されるため、点数をそのまま金額に置き換えると、基本の初診料は2,670円です。
健康保険を使う場合は自己負担が1〜3割になるため、3割負担であれば約800円が実際の支払い額の目安になります。
地域歯科診療支援病院など一部の施設では点数が異なる場合もありますが、一般的な歯科医院では267点が基本です。
ただし、実際に窓口で支払う金額は初診料だけではありません。
初診時は状態を正しく把握するために、レントゲン撮影や口腔内検査など、追加の検査を行う場合が多いです。
これらの検査料や画像診断料が加算されるため、初診料だけの金額よりもやや高くなる傾向があります。
検査内容にもよりますが、初診時の支払いはトータルで4,000〜5,000円程度を見込んでおくと安心です。
歯医者の初診でかかる費用内訳

歯科医院の初診では、初診料だけでなく、検査や処置の内容によってさまざまな費用が加算されます。
ここでは、初診時にかかる一般的な費用の内訳と、内容別にどのくらいの金額が必要になるかを詳しく解説します。
一般的な費用内訳
歯科医院の初診でかかる費用は、3割負担の場合で3,000〜4,000円前後が目安です。
一般的な初診費用の内訳は以下の通りです。
| 費用項目 | 歯科診療報酬点数 | 費用(3割負担の場合) |
|---|---|---|
| 初診料 | 267点 | 801円 |
| レントゲン撮影 | 402点 | 1,206円 |
| 歯周基本検査 | 200点 | 600円 |
| 合計 | 869点 | 2,607円 |
上記のほか、口腔内写真の撮影や細かな検査を行う場合には、さらに数百円ほど追加されます。
初診時は必要な検査が重なるため、合計で4,000~5,000円程度になることも珍しくありません。
初診料以外の項目は歯科医院によって異なるため、費用が不安な方はホームページをチェックするか、予約時に相談してみるとよいでしょう。
歯石取り(スケーリング)をする場合
初診時に歯石取り(スケーリング)を行う場合は、初診料に加えて費用が上乗せされます。
スケーリングは歯の表面や歯ぐきの周りに固まった歯石を除去する処置で、歯と歯茎の健康を保つために欠かせません。
歯石は通常の歯磨きでは取れないため、定期的に歯科医院でのケアが必要となります。
歯石取りの費用は3割負担で600〜2,000円前後になる場合が多いです。
レントゲン撮影を行う場合はさらに費用が上乗せされるため、スケーリングを行う場合の総額は4,000〜6,000円程度を見込んでおくと良いでしょう。
虫歯治療をする場合
虫歯治療の費用は、虫歯の進行度や必要な処置によって大きく変わります。
初診時に虫歯が見つかった場合は、検査費に加えて虫歯治療の費用が追加で発生することになります。
虫歯治療にかかる費用目安は以下の通りです。
| 虫歯の進行度 | 費用(3割負担の場合) |
|---|---|
| 初期虫歯 | 1,500~3,000円程度 |
| 中程度の虫歯 | 2,000~10,000円程度 |
| 重度の虫歯 | 7,000~20,000円程度 |
虫歯がたくさんある状態で来院した場合は、一本ずつ段階的に治療を行う必要があります。
初診時の費用に加えて、その後の治療費も合計すると数万円になる場合もあるでしょう。
虫歯は症状が進行するほど、そして本数が多くなるほど時間や費用の負担が大きくなります。
なるべく虫歯ができる前に、あるいは虫歯の症状が軽いうちに受診しましょう。
詰め物の再装着をする場合
詰め物の再装着をする場合の費用は、初診料に加えて1,000~2,000円前後かかるのが一般的です。
外れた部分や詰め物の内側を綺麗にしてから、専用の接着剤で詰め物を固定するという処置内容となります。
外れた詰め物の状態が良ければそのまま使えますが、破損している場合や紛失した場合は新しく作り直すため、別途費用が必要です。
すぐに再装着できるかどうかは、詰め物の状態や虫歯が再発していないかなどによって判断されます。
気になる点は事前に相談しておくと安心です。
歯医者でかかる費用を抑えるポイント

歯科医院でかかる費用を抑えるポイントとして、以下の3つが挙げられます。
- 保険診療を選ぶ
- 治療を中断しない
- かかりつけ医に相談する
ここでは上記3つのポイントについてそれぞれ解説します。
保険診療を選ぶ
歯科医院でかかる費用を抑えたいときは、まず保険診療を選ぶことが大切です。
保険診療は費用負担が1〜3割となるため、比較的安く治療を受けられます。
虫歯や歯周病などの一般的な治療は、ほとんどが保険の範囲内で対応できます。
一方、自由診療は見た目の良さや素材の質にこだわった治療で、自分の希望に合わせて選べるものの、全額自己負担になるため費用が高くなりがちです。
詰め物・被せ物の白い素材、審美目的の治療、インプラントなどは自由診療となります。
費用を抑えたい場合は、まず保険の範囲内で可能な治療がないか相談してみると良いでしょう。
治療を中断しない
歯科治療の費用を抑えるうえで重要なのが、治療を途中でやめないことです。
痛みが軽くなったり、忙しくなったりすると通院を先延ばしにしてしまう方もいますが、治療の間隔を空けすぎると結果的に費用が増える可能性があります。
前回の受診から2か月以上経つと、再び初診扱いになり、初診料が必要になります。
基本的に初診料は再診料よりも数倍高く設定されているため、少しでも費用を抑えたいなら治療を計画通りに進めましょう。
また、治療を途中でやめると虫歯や歯周病が進行して症状が悪化し、より複雑な治療が必要になるケースもあります。
初期段階で終わるはずだった治療が、削る範囲が増えたり、神経の処置が必要になったりすることもあり、治療費も大幅に高くなる可能性も否定できません。
このようなトラブルを避けるためにも、自己判断で通院をやめず、歯科医の指示にしたがって最後まで治療を受けること大切です。
かかりつけ医に相談する
歯科医院でかかる費用を抑えるポイントとして、なるべく同じ歯科医院で治療を続けることが挙げられます。
毎回違う歯科医院に通うと、そのたびに初診料やレントゲン撮影の費用が発生する可能性があります。
同じ症状の治療であっても、別の医院を受診すると改めて初診扱いとなるため、費用がかさみやすくなるのです。
かかりつけ医を決めておけば、過去の治療歴や口腔内の状態を把握したうえで診察してもらえるため、余分な検査や初診料の重複を避けられるでしょう。
また、もし大きな病院での治療が必要になった場合でも、かかりつけの歯科医が紹介状を書いてくれることがあります。
紹介状があると大学病院などでかかる追加の初診料を抑えられることもあり、結果として費用面でもメリットがあります。
歯医者の初診に関するよくある質問

歯科医院の初診に関するよくある質問をまとめました。
- 歯科医院の初診時に必要な持ち物は?
- 歯科医院の初診にかかる時間はどれくらい?
- 大学病院の初診料が高い理由は?
- 歯科医院の初診で予算と相談しながら治療内容を決めることは可能?
ここでは上記4つの質問についてそれぞれ解説します。
歯医者の初診時に必要な持ち物は?
歯科医院の初診時に必要な持ち物は以下の通りです。
- 健康保険証(マイナンバーカード)
- お薬手帳
- 健康状態を示す手帳(アレルギー記録、糖尿病手帳など)
- 紹介状や検査結果
- 現金やクレジットカード
特に重要なのが健康保険証(マイナンバーカード)です。
保険証がないと医療費が全額自己負担となり、費用が大きく変わってしまいます。
普段使う財布とは別に管理している方は、忘れないように事前に確認しておきましょう。
歯医者の初診にかかる時間はどれくらい?
歯科医院の初診は問診や検査が中心になるため、一般的に30~60分程度の時間がかかります。
まずは問診表の記入から始まり、現在の症状や悩みを詳しく聞き取ってから、必要に応じてレントゲン撮影を行います。
痛みや腫れが強い場合は、その場で応急処置を行うことがあり、通常より時間が延びることもあるでしょう。
また、検査だけでその日の診察が終了するケースも珍しくありません。
症状や口腔内の状態によってかかる時間が変わるため、仕事前や予定の合間に受診したい場合は、事前に「どのくらい時間がかかるか」を歯科医院へ聞いておくと安心です。
大学病院の初診料が高い理由は?
大学病院で初診料が高く設定されているのは、専門的な設備や高度な治療体制が整っているためです。
一般の歯科医院では難しい症例や複雑な治療を行うため、医療体制の維持に必要なコストが反映されています。
また、紹介状がない場合にさらに高い初診料が加算されることがあります。
これは軽症の患者で大学病院が混雑し、重症患者への対応が遅れることを防ぐためです。
大学病院の受診を検討する場合には、まずはかかりつけの歯科医師に相談してみましょう。
歯医者の初診で予算と相談しながら治療内容を決めることは可能?
歯科医院では、初診時の検査が終わったあとに治療計画を説明してもらえるため、その段階で予算に合わせた治療方針の相談が可能です。
特に虫歯や歯周病が複数ある場合は、すべての治療を一度に進めるのではなく、優先順位をつけながら段階的に進める方法もあります。
予算を考慮しながら無理のないペースで治療したい方は、遠慮せずに相談してみてください。
また、詰め物や被せ物の素材は保険診療と自由診療の選択肢があります。
見た目や耐久性を重視したい場合は自由診療を選ぶこともできますが、費用を抑えたい場合は保険診療で対応できる方法を提案してもらえます。
治療費が理由で受診をためらう方もいますが、初診の時点で予算の相談が可能です。
気になる点や不安な部分があれば、そのままにせずに早めに伝えましょう。
まとめ
歯科医院の初診料は3割負担で約800円で、その他の検査費用も含めると、初診時にかかる費用は4,000~5,000円程度が目安となります。
費用を抑えたい場合は保険診療を選ぶこと、治療を途中で中断しないこと、そして同じ歯科医院で継続して診てもらうことが大切です。
また初診では治療計画を説明してもらえるため、予算に合わせて進めたい場合は遠慮せず相談すると良いでしょう。
箕面おとなこども歯科では、写真や動画などの資料を基にしたわかりやすい説明を行っています。
「治療前に詳しく説明して欲しい」「できるだけ痛くない治療を受けたい」といったご希望に沿った治療も可能なため、お悩みの方はぜひ当院までご相談ください。
記事監修者

医療法人南風会箕面おとなこども歯科
- 院長
- 領木 崇人
- 略歴
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- 高知大学医学部附属病院歯科口腔外科勤務
- 大阪府 医療法人靖正会 にしさんそう歯科ナカムラクリニック 常勤歯科医師 その後、副院長に就任
- 大阪府 医療法人靖正会 萱島駅前歯科クリニック 非常勤歯科医師
- 大阪府 医療法人靖正会 守口駅前歯科クリニック 院長、理事に就任
- 京都府 マユミデンタルクリニック 口腔外科担当歯科医師
- 大阪府 まじま歯科クリニック 訪問歯科診療担当歯科医師
- 大阪府 医療法人予防歯科会 マユミ大人こども歯科 非常勤歯科医師
- 2016年9月 大阪府箕面市に、箕面おとなこども歯科開院
- 2021年1月 医療法人南風会を設立
