歯医者での子供のフッ素塗布の料金は？始める年齢や頻度も解説

再石灰化の促進

フッ素には『再石灰化』を促進する働きがあります。

再石灰化とは、歯の表面が酸によって溶け始めたときに唾液中のミネラル分を補給し、もろくなったエナメル質を補修する仕組みのことをいいます。

食事のあとなど、口の中が酸性に傾くとエナメル質が溶けやすくなりますが、すぐに穴が開くわけではありません。

この段階でしっかりと再石灰化が進むと、初期の虫歯が悪化しにくいとされています。

フッ素はこの再石灰化の働きを助け、歯の表面が元の状態に戻るようサポートするものです。

特に表面が弱くなっている歯には効果が期待でき、虫歯の進行を抑えることにつながります。

歯質の強化

フッ素は歯の表面を強くする働きがあります。

乳歯や生えたての永久歯は、まだエナメル質が安定しておらず、酸に弱い状態です。

この段階でフッ素を取り入れると、再石灰化が進みやすくなり、歯の結晶構造がしっかりとしていきます。

さらに、フッ素が取り込まれたエナメル質は、酸に溶けにくい性質を持つようになるのが特徴です。

これにより、虫歯の原因となる酸から歯を守りやすくなり、全体として丈夫な歯に育ちやすくなります。

大人の場合も、歯ぐきが下がって根元が露出している部分や、治療経験のある歯は弱くなりやすいため、フッ素で守ることが大切です。

年齢に関係なく活用できる予防法といえるでしょう。

虫歯菌の活動の抑制

フッ素は、虫歯の原因となる虫歯菌の動きを弱める効果も期待できます。

虫歯菌は食べ物に含まれる糖を利用して酸を作り出し、その酸によって歯を溶かします。

フッ素はこの酸を作るために必要な酵素の働きを邪魔し、虫歯菌が活発に動きにくい環境を作るのです。

その結果、口の中で酸が発生しにくくなり、歯が溶けるリスクが抑えられます。

毎日の歯磨きに加えてフッ素塗布を取り入れることで、より虫歯になりにくい口内環境を整えやすくなります。

子供のフッ素塗布は歯が生え始めた頃から始めるとよい

子供のフッ素塗布は、歯が生え始めた頃から始めるとよいでしょう。

生後6か月頃に最初の乳歯が生えます。この頃からフッソ塗布を勧める歯科医院が多く、乳歯の生え始めには敏感になる必要があります。

その後、1歳半頃になると前歯が上下4本ずつ生えそろい、食べられるものの種類が増えて虫歯のリスクも上がります。

まだうがいが上手にできない子でも、歯科医院で行うフッ素塗布なら問題なく受けられます。

また、この時期からかかりつけ歯科医を作ることで、口の状態を継続して見てもらえるという安心感も得られます。

子供のフッ素塗布は15歳頃まで続けるのがおすすめ

子供のフッ素塗布は、永久歯が生えそろう14〜15歳頃まで続けるとよいとされています。

永久歯は生えた直後が特に虫歯になりやすい時期で、表面のエナメル質がまだ十分に硬くなっていません。

ここでフッ素を定期的に取り入れると、再石灰化が進み、酸に強い丈夫な歯に育ちやすくなります。

この時期に虫歯が少ない状態を保てると、大人になってからの虫歯リスクも下がると考えられています。

乳歯のときだけでなく、永久歯が育つ成長段階でもフッ素は大切な役割を果たすため、継続して通院しましょう。

もちろん、大人になってもフッ素は有効です。

歯ぐきが下がって根元が見えやすい部分や、治療済みの歯は虫歯になりやすいことがあるため、引き続きフッ素ケアを取り入れる人も少なくありません。

フッ素塗布の頻度は3か月に1回程度

フッ素塗布の頻度は、3か月に1回程度が目安です。

フッ素の効果は数か月持続するとされていますが、普段の食生活・生活習慣・口腔内の状態などによって効果の持続期間には個人差があります。

安定した予防効果を得るためには、定期的にフッ素塗布を行うことが大切です。

3か月に1回のペースで通うと、フッ素塗布だけでなく歯科検診も同時に受けられるため、見落としがちな初期虫歯に気づけるというメリットもあります。

また、日頃の歯磨きで気をつけたいポイントなども教えてもらえるため、家庭でのケアの質も高まりやすくなるでしょう。

フッ素塗布に使用する薬剤の種類

歯科医院でのフッ素塗布には、高濃度のフッ化物溶液が使われます。

液体やジェル、泡などさまざまな形状があり、それぞれ扱いやすさや目的によって使い分けられています。

代表的な薬剤とフッ素濃度は以下の通りです。

歯科医院で使われるフッ素は約9,000ppm〜19,000ppmと、市販品とは比べ物にならないほど高い濃度です。

高濃度フッ素は、歯科医師や歯科衛生士が状態を確認しながら扱うことで、短時間でも虫歯予防に役立つ効果が期待できます。

家庭では扱えない濃度だからこそ、歯科医院で行う価値がある処置といえるでしょう。

市販の歯磨き粉に含まれるフッ素との違い

市販の歯磨き粉にもフッ素は配合されていますが、その濃度は950〜1,450ppm程度です。

毎日安心して使えるよう、安全性に配慮された濃度に調整されているため、日常のケアとしては十分役立つでしょう。

一方、歯科医院で使われるフッ素は約9,000ppm以上と市販品の約6倍以上にあたるため、短時間で強い虫歯予防効果が期待できます。

生えたばかりの永久歯や虫歯になりやすい体質の方、矯正中で磨き残しが出やすい方などには、歯科医院でのフッ素塗布がより適しています。

どちらが良いということではなく、市販の歯磨き粉は毎日の予防ケア、歯科医院のフッ素は定期的な集中ケアという役割の違いがあるのです。

この2つを組み合わせることで、虫歯予防効果をさらに引き上げられます。

フッ素は体に悪い？危険って本当？

「フッ素は危険なのでは？」と心配する方もいますが、これは大きな誤解です。

まず、強い毒性があるフッ素（気体のフッ素や工業用コーティングに使うフッ素）と、虫歯予防に使われるフッ素（フッ化物）はまったくの別物です。

歯科医院や市販品で使われるフッ素は、適切な量であれば安全性が確認されています。

問題になる可能性があるのは『大量に摂取した場合』ですが、通常の歯磨きやフッ素塗布では中毒を起こすほどの量を取り込むことはまずありません。

副作用としてお腹がゆるくなることはありますが、急性中毒などが起こるのは、子供が誤って洗口液を何十人分も飲んだ場合など、日常では考えにくいケースです。

また、日本では水道水にフッ素を加えていないため、海外のように生活環境から慢性的に過剰摂取する心配もほとんどありません。

フッ素塗布後の注意点を守る

フッ素の予防効果を長持ちさせるためには、フッ素塗布後の注意点を守ることが大切です。

主な注意点として、以下が挙げられます。

• フッ素塗布後30分～1時間は飲食を控える
• フッ素塗布前に丁寧にブラッシングをする
• 毎日のケアを丁寧に行う

特にフッ素塗布後にすぐに飲食してしまうと、せっかく塗ったフッ素が流れやすくなり、歯にとどまる時間が短くなってしまいます。

できれば夕食後にフッ素塗布の予約を取り、そのまま食事をせずに眠るのが理想的です。

また、フッ素塗布をしたからと言ってセルフケアを怠ると効果が薄れてしまうため、日々の歯磨きも丁寧に行いましょう。

フッ素配合の歯磨き粉を使用する

フッ素の効果を長持ちさせるためには、毎日の歯磨きでフッ素配合の歯磨き粉を使うことが大切です。

市販の歯磨き粉に含まれるフッ素は濃度が比較的低めですが、毎日使い続けることで虫歯予防の効果を高められます。

子供の場合は、年齢によって適切なフッ素濃度や使用量が異なるため、以下を参考に歯磨き粉を選んでみてください。

また、歯磨き後のうがいを控えめにすることも大切なポイントです。

多量の水でしっかりうがいをしてしまうと、せっかくのフッ素が流れてしまうため、軽くゆすぐ程度にとどめるとよいでしょう。

フッ素配合の洗口液を使用する

フッ素配合の洗口液を使うのも、フッ素の効果を長く保つのに効果的です。

歯磨きだけでは届きにくい歯の隙間や奥歯の溝にもフッ素が行き渡りやすく、ブラッシングと併用することで虫歯予防の効果を高められます。

特に矯正治療中の方や、仕上げ磨きが苦手な子供には効果を感じやすい方法です。

洗口液を使うタイミングは、就寝前がおすすめです。

使用後は飲食をせずそのまま寝ることで、より高い効果が期待できます。

ただし、小さな子供はうがいが難しく、誤って飲み込んでしまう可能性があるため、洗口液を使えるのはうがいがきちんとできる年齢からです。

成長に応じて使い分け、歯磨き粉と同じくフッ素量を調整しましょう。