失った歯のかわりに義歯をつけることになったとき、インプラントや入れ歯など選択肢がありますが、どう違うのか迷ってしまうかもしれません。
どっちがいいのか、自分に合っているのか、知るところから始めましょう。
この記事では、インプラントと入れ歯の比較やそれぞれに向いている方の特徴、併用できるのかまでを詳しく解説しています。
インプラントと入れ歯を選ぶ際の参考にしてください。
インプラントと入れ歯の違い
インプラントと入れ歯の違いについて、特徴ごとに解説していきます。
それぞれにメリットとデメリットがありますが、いい悪いというわけではなく、どちらを選ぶかの参考になる特徴です。
費用
インプラントは一部を除き保険適用外となり、自費診療のため費用が高額になります。
1本あたりだと約30万円~50万円費用がかかり、歯科医院によって差が大きい部分です。
入れ歯は保険診療のもので部分入れ歯だと、約5千円~2万円となります。
ただし、保険適用される入れ歯は材料や見た目に制限があり、より快適さを求めて自費診療の選択をすると費用がかかります。
自費診療の場合は両方とも素材や歯科医院により費用がかなり違ってくるため、よく相談して決めましょう。
咀嚼力
インプラントは顎の骨と一体化するため自分の歯と同じように噛めて、ほとんど咀嚼力に影響はありません。
入れ歯は噛む力が天然の歯と比べると弱まり、硬いものなど噛みづらくなるため、食べる物に制限が出てしまう可能性があります。
見た目の美しさ
インプラントの上部に被せる人工歯は、セラミックやジルコニアなどの素材が使われていて、審美性が高く見た目が美しく仕上がります。
天然の歯と色を合わせられるため、並んでも自然に見えるでしょう。
入れ歯は保険診療の場合、素材や形状が限られてしまい、装着する場所により金具などが外から見える可能性があります。
自由診療の入れ歯を選択すると、見た目の向上が目指せます。
違和感
インプラントは顎の骨に人工歯根を埋め込むため、自分の歯のように使えて違和感は少ないです。
入れ歯は違和感があることが多く、食事や会話に不便を感じる人もいます。
慣れると軽減される場合もありますが、個人差があるでしょう。
手術の有無
インプラントは手術が必要な治療で、麻酔をしてインプラントを顎の骨に埋め込む手術をします。
顎の骨が十分でない場合は骨造成を行ったり、歯茎が痩せて下がってしまっていたら歯茎移植を行ったり、人によって手術の回数が増えることもあります。
また、検査でCTを撮ったり、手術で麻酔をしたりする必要があるため、持病や全身疾患のある方はインプラント治療が受けられない場合もあり、事前に歯科医師に確認が必要です。
入れ歯は手術がなく、制限がほとんどありません。
持病や全身疾患がある、子どもや高齢でインプラントができない人でも、入れ歯は作ることができます。
他の歯への影響
インプラントは1本で独立していて、他の歯に器具をかけたり削ったりする必要がなく、周囲の歯に負担をかけません。
他の健康な歯に影響せず、自分の歯をなるべく長く残すことにつながるでしょう。
ただし、インプラント周囲炎になると周囲の歯にも影響してしまいます。
入れ歯は部分入れ歯の場合は、周囲の歯に金属のバネを引っ掛けて固定するため、支えとなる側の歯には負担がかかってしまいます。
寿命
インプラントは定期的なメンテナンスと自宅でのケアをきちんと行った場合、10年以上使えます。
ただし、インプラント周囲炎になったら、インプラントが固定されている顎の骨が溶けてしまい、抜け落ちてしまう可能性があります。
予防のためには、歯科医院でメンテナンスとチェックを受けることが大切です。
入れ歯の寿命は3~5年ほどとなり、歯茎が痩せる、上部がすり減る、金具が緩くなるなどの理由により作り替えが必要になります。
合わなくなった入れ歯を使用し続けると、取れやすいなどの心配だけでなく、歯茎へダメージを与えるリスクにもつながるため、定期的に歯科医師で診てもらいましょう。
治療期間
インプラントは治療前の検査から被せ物(人工歯)を入れるまでの期間が、半年~1年ほどかかります。
また、メンテナンスのため数ヶ月に1度は通院が必要になるため、長い期間がかかると思っておいた方が良いでしょう。
入れ歯は部位や本数にもよりますが、約1ヶ月で済む場合もあります。
ケアの方法
インプラントのケアは、基本的には天然の歯と同様にブラッシングなどのケアを自宅で行います。
それに加えて、定期的なメンテナンスで歯石取りや歯のクリーニング、噛み合わせの確認、インプラント周囲炎になっていないかのチェックなどが必要なため、数ヶ月ごとに歯科医院に通うことになります。
入れ歯は食べたものが挟まりやすいと言われますが、外してケアすることができるため、直接目で見て汚れを確認できるのが特徴です。
市販の入れ歯洗浄剤などもあり、歯科医師にケア方法を聞いておけば自宅でのケアができます。
インプラントが向いている人
インプラントに向いているのは、どのような人なのでしょうか。
治療を検討する際は、自分に当てはまるか確認してみましょう。
見た目の美しさを重視したい
審美性が高いインプラントは、見た目の美しさを重視したい方に向いています。
人に見られる職業や接客業など、歯が目立つような職業の方は、インプラントがおすすめです。
また、スポーツをする、声を発する仕事などにも影響が少ないため、インプラントが向いているでしょう。
入れ歯をしていて合わなかった
歯を失って最初に選択したのが入れ歯だったとしても、使ってみて合わないと感じたら、インプラントを検討してもいいかもしれません。
歯茎が痩せてしまい入れ歯が合わなくなって、何度も再調整が必要なのが面倒になることもあります。
入れ歯の違和感に慣れない、食事に気を遣って楽しめないなど、人それぞれ合わないと感じる理由は違いますが、そのまま使用を続けるかインプラント治療を受けるかは、歯科医師とよく相談してください。
年齢が若く事情により歯を失った
事故やアクシデントなどで歯を失うケースはよくあり、特に前歯にぶつかるなどの事例が多いです。
年齢が若い方は他の歯や口内の状態が良ければインプラントが向いています。
前歯は目立つ部分であるため、入れ歯だと見た目が気になってしまうかもしれません。
また、健康な他の歯に影響が少ないインプラントは、1本だけの治療が可能で若い人にもおすすめです。
残った歯を大事にしたい
加齢による歯周病などで歯を失った場合に、残っている歯を大事にしたい方はインプラントがいいでしょう。
インプラントは他の歯を削る必要はなく、隣り合った歯には影響しません。
入れ歯やブリッジなどの方法は調整のため歯を削る可能性があり、強度が落ちたり、負担がかかったりするため、不安な方はインプラントを検討してみてください。
メンテナンスに通える
インプラントは治療後も定期的に歯科医院に通い、メンテナンスが必要です。
きちんと通院できる方、歯科医院に通える環境である方に向いています。
万が一噛み合わせに不具合が出るようなトラブルがあったり、インプラント周囲炎の兆候があったりしても、早期発見ができればすぐに治療に取り掛かれます。
入れ歯が向いている人
インプラントはメリットが多いように感じますが、入れ歯が優れている面もあります。
ここでは入れ歯に向いている人はどんな人なのか、紹介します。
失った歯の本数が多い
1本2本ではなく、上側全部や全部の歯など、失った歯の本数が多い人は、入れ歯が向いています。
インプラントにも全部の歯に対応したオールオン4という物もありますが、総額で500万円以上かかり、なかなか難しいでしょう。
入れ歯は総入れ歯で対応できて、保険診療なら本数が多くても1万円で作製できます。
自費診療の場合は歯科医院によって差があり50万円前後の可能性が高いですが、インプラントよりは費用はかかりません。
手術をしたくない・できない
手術に対して恐怖心があったり、抵抗感があったりする方は、外科手術が必要なインプラントではなく入れ歯を選択した方が良いでしょう。
また、以下のような方はインプラント手術ができない場合もあります。
- 妊娠中
- 糖尿病
- 高血圧
- 心疾患
- 腎疾患
- 骨粗しょう症
- 外科手術ができないとされる持病がある など
これらの疾患や状況などでも、場合によっては手術ができる可能性もあるため、かかりつけ医や歯科医師に相談してみましょう。
インプラントの手術ができないときは、失った歯の替わりには入れ歯を選択することになるかもしれません。
費用をかけたくない
インプラントと入れ歯では、費用面で大きく差が出るため、費用をかけたくない方は入れ歯が向いています。
1本の価格でも、30万円以上変わってきます。
全部の歯をインプラントにした場合、オールオン4を使用しないと1,000万円近くになってしまうでしょう。
保険診療ができる入れ歯ならば、総入れ歯でも1万円前後で対応でき、費用をかけたくない方には入れ歯がおすすめです。
ケアが楽な方がいい
入れ歯のケアは、取り外して丸洗いして、洗浄液につけるだけで簡単なため、ケアを楽にしたい方向けです。
もちろん定期的に歯科医院で検診を受けて、入れ歯の状態をチェックする必要はありますが、毎日のケアは目で見て確認できるため清潔に保てます。
未成年・高齢
未成年は成長に伴い骨格が変わり、インプラントをしても合わなくなる可能性があるためインプラント治療には向きません。
どうしてもインプラントを希望するならば、大人になって顎の骨が成長し、安定してからインプラントの治療を開始するようにして、それまでは入れ歯で過ごした方が良いでしょう。
また、85歳以上の高齢の人は、手術への適応ができるかの体の状態や、定期的なメンテナンスに通うのが難しい場合があるため、インプラント治療ができない可能性があります。
インプラントと入れ歯の併用はできる?
インプラントと入れ歯はそれぞれメリットとデメリット、向いているかいないかがあります。
しかし、併用という方法があるのを知っていますか?
ここではインプラントと入れ歯の併用について、詳しく解説していきます。
インプラントと入れ歯は併用できる
結論としては、インプラントと入れ歯は併用が可能です。
オーバーデンチャーという、2~6本ほどのインプラントを埋め込み入れ歯を支える治療方法のことを言います。
総入れ歯と部分入れ歯どちらも対応でき、通常の入れ歯のように取り外しができます。
インプラント部分と入れ歯をつなぐアタッチメントにはいくつかの種類があり、それによって装着感や着脱のしやすさ、噛み心地に違いが出るため、自分に合った選択をするのが重要です。
併用するメリット
すべての歯をインプラントにすると1,000万円近く、オールオン4を使用しても500万円以上はかかりますが、オーバーデンチャーにすれば価格を抑えられる可能性があります。
歯科医院により、またどれくらいの本数にするか、入れ歯部分の素材などでかかる費用は変わりますが、50万円~200万円ほどはかかると考えておくと良いでしょう。
インプラントと同じく費用の幅が広く、入れ歯との組み合わせで更に価格が読めなくなるため、200万円以上かかる可能性もあり、事前に確認が必要です。
他のメリットは以下のようなものがあります。
- 噛む力が伝わりやすく食事がしやすくなる
- アタッチメントで固定されて外れにくい
- 金属のバネを使用しないため目立ちにくい
- 噛む力が顎に伝わり、顎の骨が痩せるのを防ぐ
- 外すことができて自宅のメンテナンスがしやすい
- すべてをインプラントにするより本数が減り体への負担が少ない
- 顎の骨が足りなくてインプラントができない人にも治療の可能性がある など
特に、通常のインプラント治療で顎の骨が足りないから骨造成をしなければならない場合、期間や費用の面でインプラントを諦めざるを得ないこともあるでしょう。
オーバーデンチャーはインプラントを埋め込む本数が少ないため、骨が十分にある場所を選ぶことができます。
口腔内の状況によって、それでも対応できず難しい場合もありますが、通常のインプラントよりは可能性が高いため、歯科医師に相談してみましょう。
併用するデメリット
インプラントである以上、人工歯根を埋め込む手術が必要になるため、入れ歯と比較すると体への負担はかかってしまいます。
手術への恐怖や抵抗感がある方には向きません。
その他のデメリットには、以下のようなものがあります。
- 入れ歯よりも長い治療期間がかかる
- 保険適用の入れ歯と比較すると高額になる
- インプラント部分と入れ歯部分の両方にメンテナンスが必要 など
インプラントに向いていない人は、オーバーデンチャーのデメリットをよく考えてみてください。
自分に合っているかもと感じた場合は、まずは歯科医院に相談して、適応できるかどうか、治療期間や費用などを詳しく確認してみましょう。
まとめ
インプラントと入れ歯は、それぞれに向いている人、向いていない人がいます。
どちらが悪いというわけではなく、特徴に合っているかどうかです。
判断するには歯科医師とよく相談して、自分に合った治療方法を提示してもらいましょう。
歯は食事をするにも会話をするにも大事な、体の一部であるため、快適な日常生活を送るためにも、後悔しない治療を選択しましょう。
箕面おとなこども歯科では、自分の歯をできるだけ残す治療を心がけております。
無料のインプラント相談も受け付けていて、患者さまに適した治療を丁寧なカウンセリングで説明させていただきます。
インプラントへの疑問や不安をお持ちの人は、ぜひお気軽に箕面おとなこども歯科へご相談ください。